Osmotic Flow - CAFEC Pour Over Method

CAFEC式透過法抽出とは?

ハンドドリップ抽出

コーヒーの抽出方法の1つに、「ハンドドリップ」による抽出がある。

丁寧に人間の手によって抽出する方法で、「透過法」「浸漬法」の2つの方法がある。

  • 透過法

    Osmotic-flow

    濾過層(=コーヒー粉の層、抽出層)に上から湯を通過させることにより浸透圧*を起こし、この浸透圧を利用して抽出する方法。

    濾過層に湯を透過させ、コーヒーエキスと湯との間に濃度差を作りだし、エキスを抽出液に取り込む。「濾過層を湯が通過すると、いったんそこで浸透圧が止まる。ここで再度湯を注ぎ、濾過層を通過させ、また浸透圧を起こす」この一連の動作を繰り返すことにより、良質なエキスが抽出される。湯は濾過層を常に通過するので、湯が溜まることはない。

    【ペーパーフィルター、ネルドリップなど】

  • 浸漬法

    Full Immersion

    コーヒーの粉を一定時間湯に浸し、時間になったら粉と抽出液を分離する方法。 透過法との一番の違いは、透過法が湯が溜まらないのに対し、浸漬法は容器の中で湯を溜め、粉を湯に浸す方法であるということ。濃度差が発生するので抽出は可能だが、濾過層は形成されない。

    【フレンチプレス、サイフォン、金属フィルターなど】

浸透圧とは

濃度の異なる2種類の液体を、膜を隔てて隣り合わせにした際、互いに同じ濃度になろうとする力

コーヒーの抽出で言うと、湯を注ぐことにより、コーヒーエキスと湯(2種類の液体)の間に濃度差が生じる。この濃度差をなくそうとする力(浸透圧)により、エキス(濃度が濃い液体)が湯(濃度の薄い液体)の中に溶け込み、コーヒー液として抽出される。

  • Coffee powder
  • Coffee membrane

透過法による抽出

【蒸らし=エキス出し】
「蒸らし」とは、挽いた粉にお湯をかけることで、コーヒーの粉と粉の間(空洞)に湯が入り込み、粉と粉の間の空洞にコーヒーエキスを溜める工程。湯を注ぐ前の空洞部は炭酸ガスなどの気体がつまっているが、湯が入りこんできたことで、気体が外に押し出される。気体は軽いので、上へ逃れようとし、この時に粉層を持ち上げ膨らみ、粉と粉の間の空洞部に湯が入り込む。ここで浸透圧により、エキスが湯に溶け出し、空洞部に溜まる。

  • coffee liquid
  • 蒸らしによって、空洞部にエキスが溜まった状態で、濾過層に上から湯を通過させることにより浸透圧を起こす。ここでエキスが湯に取り込まれ、濾過層を通過して濾過され、コーヒーの抽出液となる。 濾過層を湯が通過してしまえば、いったん浸透圧が止まるため、再度湯を注ぎ、濃度差を生じさせ、また浸透圧を起こす工程を繰り返す。

透過法は、濾過層に湯を通過させて浸透圧を起こす抽出法。であるから、上から湯を注いだとしても、ドリッパー内に湯を溜めるように粉全体に湯を注いでしまえば、湯が溜まり、濾過層(=抽出層)を壊してしまう。この瞬間から、もはや透過法ではなくなってしまうのである。

蒸らし

「蒸らし」の目的って?

I「湯の通り道を確保する」こと。湯が十分に染み込む事で、多孔質のコーヒー粉は膨張し、「開いた」状態になり、 コーヒー粉の内部にまで湯が通り、同時に予熱されます。「蒸らし」とは、抽出の為の準備作業といえます。

湯を注ぎ続けたらどうなるか

湯が最初にフィルターに接するまでに通った道が、周りに比べて湯の流れやすい 通り道になり、この通り道付近の粉からはどんどん成分が抽出され、 他の部分からは抽出されない、いわゆる「抽出ムラ」が生じます。

湯は注ぐのではなく、乗せるイメージで、中心から円を描く。
※フィルターの外縁部分に湯を注がないこと!
Water pouring

○ 正しい蒸らし

拡散した湯が均等に浸みわたり、粉のバランスを崩さずに、ドーム状に盛り上がり、サーバーに落ちるコーヒー液も数滴程度、が理想です。

Proper Blooming

☓ 誤った蒸らし

外縁部に湯がかかると、湯はフィルターとドリッパーのリブを通して引っ張られ、均一な蒸らしができません。これは過剰な注湯を行うことと同じといえます。

Bad Blooming
  • 抽出メカニズムについて

    蒸らしを終えたコーヒー粉に注湯を行うことで、湯にコーヒーの可溶性固形分が抜き出されます(=滲出)。 ドリップ法(透過法)の原理としては、 『フィルター内は滲出・浸漬の状態であり、注湯と濾過が同時並行的に行われている』と表現できます。

    注湯のメカニズムを考えると、職人といわれる方々は、気付かずにこれを実践していたと言えます。 家庭用では、簡単に万人が一定の味を出せる様なレシピで、湯を一定量入れて落ち切って終了、というマニュアルになっています。その方法では、フィルター内(蒸らしの力のバランス式)のバランスが崩れ、水圧により濾過速度が早くなり、湯を数回に分けて注ぐよりも、抽出効率が悪くなります。 このセミナーでは、職人の手仕事を理論づけ、ドリップを数回に分けて行う方法(一定の圧力を保つ)を学んで頂きます。そのための注湯テクニックとして、以下2点が重要になります。

  • Mechanism of Osmotic Flow

    1注湯は低い位置から細く少量ずつ 
    (湯の加速度を考慮する)

    2注湯は一定の量と、速度で 
    (濾過量を考慮する)

注湯について

  • Tip a dripper

    ドリッパー面と湯の角度が90度になるようにポットを傾けて、「の」の字を描けたらOK!

  • ポットの扱いを考える先ほど挙げた2点の注湯テクニックポイントを満たす為に、次の3つを確認します。

    point

抽出理論を理解した注湯をすること

  • ドリップ抽出に置いて重要なことは、注湯の重心を考えることです。注湯の方法として「の」の字に注ぐ、表現されますが、これを平面ではなく、立体的に考えてみましょう。

    フィルター内のコーヒー粉は、フィルターにコーヒー粉の層を形成し、注湯の量と濾過の量がほぼ同じに保たれると、フィルター内の圧力の均衡が保たれ、均一な抽出となります。

    2回目の注湯の後、濾過により、フィルター内の湯と粉が中心から下方に吸い込まれていきます。このフィルター内のバランスが崩れないタイミングで、次の注湯を行いましょう。

  • Brewing Theory

コーヒー粉の役割について

フィルター内のコーヒー粉は、それ自体がフィルターの役割をしています。

  1. ①コーヒー粉の粒子にはガスが含まれています。
  2. ② ①のガスを均等に引き抜くために、「の」の字を描いて湯を注ぎます。 (大きい粒子には多くのガスが含まれ、ガスの力(浮力)が働く)
  3. ③ドリップを均一に行うと、ガスが抜けた粒子は重い順に沈み、ドリッパーの縁と底に、コーヒー粉の堆積層を作ります。
  4. ④コーヒー粉の堆積層は浄化の役目を果たし、湯に溶け込む可溶性固形分の中で、軽い泡に含まれる雑味をセーブします。
  • pouring in batches

    湯を数回に分けて注ぐと、コーヒー粉の堆積層が 厚くなり、その層が雑味成分をセーブする役割を 果たす。

  • pouring all at one

    蒸らし後、一気に注いだ場合は、コーヒー粉の堆積層は薄く、濾過速度も早いため、コーヒー粉自体のフィルター効果は少ない。

CAFEC式透過法抽出