DAIKI HATAKEYAMA

特別対談

畠山 大輝氏
スペシャルインタビュー

ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ 2019 優勝
ジャパンブリューワーズカップ 2019 優勝
ワールドブリューワーズカップ 2021 世界第二位

聞き手:中塚 茂次

今年9月に行われたSCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)が主催するコーヒーの競技会、JHDC(ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ)とJBrC(ジャパン ブリューワーズカップ)で優勝し、史上初の2冠を達成した「Bespoke Coffee Roasters」の畠山大輝さん。この大会で、CAFECの抽出器具を使っていただいたご縁で、新チャンピオンへのインタビューが実現しました。畠山さんのコーヒーとの出会いから、2冠達成までの足跡、コーヒーへの思いや今後のビジョンまで、じっくりとお話を伺いました。
※畠山さんはその後、ワールドブリューワーズカップ2021で世界第二位を勝ち取りました。

人生を大きく変えた、
コーヒー店へのおつかい

A little job request changed my life dramatically.
  • 畠山

    私も一度は会社員として働いていたんですが、色々考えるところがあって一旦、仕事を辞めて何もしない期間を作ったんです。当時はほとんど家にいたのですが、ある時、両親からお気に入りのコーヒー豆店へのおつかいを頼まれたのが、コーヒーと出会うキッカケでした。その後も何度か店に足を運んで、話を聞くうちに興味が湧いてきて。今までずっと飲んでいた市販のコーヒーと比べて、素人でもわかるくらい明らかに味わいや品質が違ったんですよね。元々、美味しい物は好きでしたが、「コーヒーには自分がまだ知らない世界があるんだ」というのを、そこで初めて知って。そのうち自分でも淹れるようになって、どんどんはまっていきました。そんな時、ちょうどその店の新規出店の話があって、「ちょっとやってみない?」と誘われて応募したのが、コーヒーの世界への入口になりました。

  • 中塚

    私も学生の時は、コーヒーに対してそれほど興味を持っていた訳ではなくて、友達と喫茶店へいってもミックスジュースばかり頼んでいました(笑)。でも、十数年前からスペシャルティコーヒーというワンランク上のコーヒーが日本に浸透し始めて。その頃、すでにコーヒー業界に入っていたのですが、スペシャルティコーヒーを初めて飲んだ時、「世の中にはこんな美味しいコーヒーがあるんだ」と感動したのを覚えています。

お客の好みに応える
“オーダーメイド”のコーヒー

“Custom-made” coffee to value each customer’s preference.
  • 中塚

    話は戻りますが、最初はご両親のおつかいからコーヒーとの縁ができたということですが、はまっていったら今度は焙煎してみようとか、色々やってみたいことが増えていったのですか?

  • 畠山

    まずは、「自分で美味しいコーヒーを飲みたい」と思っていたので、「そのためには何が必要なんだろう?」と考えて、焙煎も始めました。人にまかせていると、その方の好みや味作りというのは体験できるのですが、自分で本当に好きな味を作り出すには、やっぱり自分で焙煎するしかないのかなと思ったので、それを実現させようと思いました。今もそうですが、常に「コーヒーを美味しく淹れたい」とか「美味しく飲みたい」という思いが、ずーっと自分の中で大きな動機になっていて。もう、その一心でやり続けています。ある程度、自分で上手く焙煎できたり、淹れたりできるようになったなと実感できると、今度は、誰かに飲んでもらいたいなとなって、今に至る感じですね。

  • 中塚

    自分で焙煎して、淹れて、飲んだコーヒーって、最高に美味しいですよね。コーヒーは嗜好品なので、絶対に正しい淹れ方というのがあるわけじゃない。色んな人の持論があっていいと思っていますが、畠山さんが目指す「美味しいコーヒー」はどのようなものでしょうか?

3年越しでつかんだ
2冠への足跡

Seized glory after fighting for three years.
Seized glory after fighting for three years.

コーヒーはもっと
自由に楽しんでいい!

You can enjoy coffee as you like!
  • 中塚

    最後に、今後のCAFECについて期待していることなどあれば教えてください。

  • 畠山

    やはり、今のスタンスのまま、こだわりのモノづくりを続けていってほしいですね。

  • 中塚

    今、CAFECでは「その先にあるコーヒースマイルを」というテーマを掲げています。「その先に」と言うのは家庭のことで、コーヒーが楽しめるゆとりのある生活、笑いのある家族団欒のお手伝いをしたいと思っています。それは、コーヒーそのものじゃなくてもいいんです。例えば、温度計で湯温を測りながら淹れてみようとか、抽出の量も適当ではなくスケールで測ってみようとか、抽出するプロセスも楽しくできたらいいなと。焙煎も一緒で、一つ一つを知ると楽しいと思うんですよね。だから「その先にあるスマイル」を見られるような展開を、今後どうするか考えています。僕の店はどんなに忙しくても、コーヒーマシンは使わず、ハンドドリップで提供しています。やっぱり、最後のコーヒーが美味しければ、家でも飲もうかとなるでしょう?そういう地道な活動で、美味しいコーヒーが家庭に広がればいいなと思います。